9.情報源を確認する以前、ジーンズに関する豆知識の原稿を執筆していたとき、「ジーンズの語源は、イタリアのジェノヴァである」という情報に接しました。 そこで、それが定説なのかどうかを調べようと検索したところ、「ジーンズの語源はジェノヴァ」と明記した記事が20件あまりヒットしたんですよ。 が。 みんな型にはまったように同じ文章(^^ゞ しかも、原典がいっさい書かれていませんでした。 つまり、少なくとも19件はコピペなのでしょう。 これでは裏をとれたことになりません。 しかし、インターネットではこれ以上の情報が得られなかったので、図書館へ行ってファッション関係の辞典を調べ、確かにジェノヴァがジーンズの語源とする説があることを確認できました。 「ジーンズジェノバ起源説」は、裏がとれたので問題ではないのですが、確認もせずに記事にしてしまい、間違いが広がってしまうのはとても怖いことのように思います。 たとえば、故つかこうへい氏の『腹黒日記』は、嘘八百をもっともらしく書いたエッセーなのですが、その中にある「法螺話し」が真実だとして広まっている例がいくつか見つかるんですよ。 もっともよく見かけるのは「井の中の蛙は空の深さを知ってるから海の広さを知らなくても良いんだ説」でしょうか。 氏は、「井の中の蛙 大海を知らずという文句のあとに、されど空の深さを知るという文言が続く」と書いておられました。 いかにも「いい話」ですよね。 読んだとき、真に受ける人がいるんだろうなぁと思っていましたが、やっぱりたくさんいました(笑) そもそもこの言葉の原典は『荘子 秋水篇』にあり、ちょっと検索すれば、原文はすぐ見つかります。 「井蛙不可以語於海者、拘於虚也。夏蟲不可以語於冰者、篤於時也」 井戸の中の蛙が海を語れないのは、井戸の中のことしか知らないからだ。夏の虫が氷を語れないのは、夏のことしか知らないからだという意味になるでしょう。 調べてみれば、「空の深さを知る」なんて言葉はどこにも出てこないことに気づくはずなのにね(^^ゞ 大学の教授が、講演でこの法螺話しを広めたらしきことも、インターネットで確認しました。 「いい話だからいいじゃん!」 っていう問題じゃないと思うんだな、これ……。 嘘を広めることがないよう、原典は必ず確認するようにしましょうね。 |